新在留資格の国会審議

皆さん、こんにちは(^^)

あまりに久しぶりなので大丈夫かと思った読者は居たのでしょうか?(笑)
このブログの読者はほぼ同業者が多いと感じたので、あまり更新するメリットは無いのかなと感じているのと、やっぱり色々忙しくなるとどうしてもどうでもよくなります更新が滞りますよね。今国会で審議真っ最中の、新在留資格創設について気になった事も含めて久しぶりに更新してみたいと思います。

1.外国人労働者の現状

さて、入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と呼ぶ)の改正案が現在国会で議論されております。国会議員は国民の代表として選ばれた者ですから、外野からゴチャゴチャ言っても仕方ない部分もありますが、外国人労働者問題にスポットが当たっているのは良い機会と考えます。そもそも日本の外国人労働者の数はご存知でしょうか。平成30年現在で約130万人とも言われています。純粋な就労系ビザである「技術・人文知識・国際業務」と「技能実習」がそれぞれ約25万人。コックさんなどの「技能」が約4万人、「経営・管理」約2万5千人、「企業内転勤」約2万人弱、「教育」と「高度専門職」は約1万人程度、その他諸々です。なんか人数合わないのではと思われますが、永住者等の身分系の資格を有する外国人が一番多く約45万人、そして留学生が資格外活動許可を得て就労する者が約30万人も居るのです。

外国人労働力について(内閣府) 平成30年2月
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf

2.現状の外国人労働者の問題

外国人労働者は年々増えているので、現在(平成30年11月末現在)はもっと増えているでしょう。現在国会で議論されているのは、それに加えて「特定技能」と呼ばれる新在留資格です。元々日本では日本人労働者を保護する観点から、外国人労働者に一定の専門的な技術や知識が必要でした。言い換えれば単純労働者は就労ビザ申請は許可されません。しかし、日本人労働者がやりたがらない一部職種では人手不足が顕著で外国人に頼らざるを得ない状況になっていました。そこで苦肉の策として留学生の資格外活動許可、外国人技能実習制度を悪用して単純労働をさせている受け入れ企業が多いことから社会問題になっているのです。

留学生の資格外活動許可も週28時間制限があるように、学業に影響が出ない程度で自らの経費支弁の足しにする趣旨です。ところが学業そっちのけで就労がメインになっているケースが多く問題となっています。就業先の週28時間制限を知っててそれ以上に働かせてる事業所も多いように感じます。実際、飲食業界やコンビニ業界は留学生に頼らざるを得ない状況のようです。また外国人技能実習制度は、元来日本で学んだ専門的な技術等を母国に持ち帰って活用する事を目的に許可されるビザです。これを悪用して低賃金・過酷労働・単純作業に従事させているケースが多く同様に問題になっています。これが今までの流れです。

3.新在留資格「特定技能」の問題点

新しく創設される「特定技能」は一号と二号が予定されていますが詳細はまだハッキリ決まってません。技能となっていますが実質単純労働者の受け入れです。特定技能には、経済界からの要請が強かったのでしょうが、先述の問題点をクリアにしないまま新しい在留資格を創設するのはいかがなものでしょう。時間を掛けて議論することが必要と考えます。私自身は新在留資格についてどちらかと言えば賛成の立場です。しかし、外国人の人権に配慮した制度にしないまま拙速的に法案を通してしまうと、結局今までと同じ問題が繰り返されるのは目に見えてます。悪質ブローカーの排除、違法な時間外労働、休日出勤、最低賃金、安全衛生の改善等やるべきことは多いはずです。現時点では日本の経済状況・雇用環境は大きく改善されて景気は良いですが、リーマンショック級の大不況になった場合はどうなるのでしょうか。外国人労働者に不況になったから国に帰れと言うのでしょうか。国に帰る費用は誰が出すのでしょうか。帰りたくても帰れない不法滞在者が増えれば治安の悪化につながるのではないでしょうか。それ以上に日本も国際的に信用を失いかねません。

不法在留者を収容する入管のキャパシティも問題になってます。外国人滞在者が増えれば増えるほど不法滞在者も増えると思いますが、肝心の収容施設がなければどうなるのでしょうか。無理やり現在の収容施設に詰め込むのでしょうか。これ以外にも課題は山ほどあるのです。

また、外国人を数多く受け入れるということは日本人とのトラブルは確実に増えると予想します。多様性を認めて外国人と共存する社会と言えば理想的ですが、そもそも文化が違うのでトラブルが起こらない訳がありません。郷に入っては郷に従えという諺は、日本人に通じても外国人には通じない場合もあるのではないでしょうか。また、以前も書きましたが日本の医療を受ける目的でビザを不正取得する事例が問題になりました。就労ビザが簡単に取得出来てしまうと同様の不正が多発する恐れがあります。特定技能で企業に就職する場合、社会保険に加入することになると思いますが、被保険者(外国人労働者)の被扶養者(配偶者等)は3号被保険者として保険料の負担なしで制度上健康保険証が作れてしまいます(3号被保険者の要件に国籍・国内居住要件はありません)。また、高額医療費制度があるためどれだけ高額な医療を受けても、保険診療内であれば毎月自己負担額の範囲で収まります(例えば標準報酬月額が26万円以下だと月額自己負担額57,600円)。つまり家族を日本に連れて行って手厚い医療を受けさせてやりたい場合、とりあえず特定技能などの簡単に取得出来る就労ビザを取得して社会保険に加入すれば目的を達することが可能になります。そんな者の為に保険料負担が今の3割から4割、5割と増える結果になれば誰だって納得出来ないでしょう。

健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

高額な医療費を支払ったとき(全国健康保険協会)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150

4.結論

このように入管法を改正しようとすると、今までの問題点が多すぎて他の法律も改正しなければ解決出来なくなっています。確かに単純労働とされてきた宿泊業や飲食業、コンビニ業界などは深刻な人手不足なのは理解出来ます。しかしながら拙速的に事を進めるのは後の憂いを増やすだけで一難去ってまた一難の永久ループを繰り返すだけではないでしょうか。今まで深刻な人手不足の解消を優先して、問題点に目を背けてきたツケはあまりにも大きすぎます。議論に議論を重ねて日本と外国人労働者にWINWINな関係を構築出来るよう祈るばかりです。

大阪かがやき行政書士事務所は就労ビザをはじめ在留資格の取得をサポートしています。土日祝日も相談業務に対応していますのでお気軽にご相談下さい。

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